薫風舎日記バックナンバー

休日の過ごし方。(その3)

古い民家を改装した妙に落ち着くウエスタン調の店内で、コーヒーをすすりながらあたりを見まわすと、ホーストレッキングの案内に目が止まった。ヒルトップコース6000円。初心者もできると書いてある。「やってみたいねー。」と口にしたとたん気持がにわかに動いた。「やってみるか!」3人とも、その気になってしまった。しかし、トップシーズン直前に誰か怪我でもしたら、どうなるか。不吉な風景が一瞬頭をかすめた。ちょっとやめておいた方が、などと一応すこし言い合ったのだが、もうすっかりその気になってしまった3人には無用なやりとりだった。カレーとピザを食べながら、もう気持は馬上に飛んでいた。
室内で短いレクチャーを受けてから、円馬場で練習だ。すすめと止まれ、そして右左と、やってみるといたって単純な指示で、馬たちは素直にいうことを聞いてくれる。勝気なイイ女「ウィンディ」にあっこちゃん、Boss「クロス」には私、そして私が一番!の「ローズ」に主人が乗って、たどたどしいたずなさばきで、丸馬場の中を数回、くるくると回った。

丸馬場の中で10分ほど練習をし、いよいよ丘に向かって出発だ。白い馬に乗ったアンさんの後ろについて、私たちは畑の方へと向かった。田んぼや畑の間の道を、とことことすすんでいく。振り返ると、一番後ろの主人が、大きく遅れている。「ローズ」は異常なほどの食いしん坊で、まわりの草を食べ始めると、もういうことを聞かなくなるのだ。主人は、食い意地の張った「ローズ」になんどもてこずりながら、ようやく私たちに追いつくといった格好で、丘へとすすんでいった。
畦道から、草原へ、そして木々の生い茂った森の中へと、トレッキングは続く。私たちはこの上ない喜びに、思わず顔がにんまりしていた。楽しすぎる。こんなに贅沢な時間があるだろうか。そう思って振り向くと、主人は、相変わらず、無心に草を食み、ずんずん変な方向へとすすんでしまう「ローズ」と格闘していた。










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